鼓膜シュレッダーインタビュー

5月5日、M3にて1stミニアルバム「Good morning or sex」を発売予定の鼓膜シュレッダー。LBT最年少のイケメン、ツージーによる「Wac Rock Disco」がテーマのダンスミュージック/ポップなユニットだ。LBTと鼓膜シュレッダーとの出会いはmyspaceだった。鼓膜のラップのアホっぽさ、そしてそれに似あわぬ爽やかなメロディに惚れ込み、LBTの面々がmixiの鼓膜コミュニティに入った所本人からコンタクトがあり、LBTに加入してもらった。今回が初のプレスCD発売となる。

とぼけた発言で未だ謎の多いツージー。彼は現在25歳で千葉に在住。今回ミニアルバム発売にあたり、インタビューを試みた。

鼓膜シュレッダー

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─現在のメンバー構成はどうなっていますか?

全然1人でやっています。元々3人正式メンバーがいたんですけれど、ついてけないというか、就職したり音楽はやらない!宣言をしたりして卒業していきました。卒業して欲しいってわけでもなかったんですが。

─鼓膜シュレッダーの由来はなんですか?

名前は、インパクトがあるものに決めたいという事で、格好いい単語を探してたんですよ。でも本気で格好いいと思われると困るなって思ったんです。ダサ格好いいというか、そこも音楽とリンクしてるのかもしれないですけど。最初にシュレッダーという単語は決まってたんで、何をシュレッドするか相談してたら、鼓膜しかないかなと。あ、漢字というのもいいかなと思ってたんで、今考えると髪の毛シュレッダーでもよかったかも。

失敗したかなと思ったのは、ドリカム、サザンみたいに略しやすいバンド名がよかったかなと。鼓膜っていうと、本当に鼓膜じゃないですか…。あとやたらとハードコアバンドかヴィジュアル系に間違えられる事も多いのが欠点ですね。

─ツージーの音楽的な歴史を教えて頂けたらと思います。

小さい頃は、ポンキッキーズにはまってたんですよ。夢のひよこ(矢野顕子)、夏の決心(大江千里)という曲が大好きで、見るたびに、毎日見てたんですけど。そこがきっかけでした。アニメや小さい子向けの音楽がずっと好きでした。

初めてJPOPを聴いたのは、MR.CHILDRENか、H Jungle with t…。誰でも音楽をやれるんだと思いました(浜ちゃんの声を聴いて)。小学生6年生くらいからはお兄ちゃんの影響で、洋楽のロックに行きました。一番好きだったのは、エアロスミス、ブラー、ジャミロクワイとか、ダンスミュージックも全部ロックだと思ってましたね。英語で格好いいぜ…ギターとか格好いいぜ…と思ってました。

─その後からHIPHOPを聴き始めたとの事ですが?

洋楽を聴きつつも、大怪我/大神(シャカゾンビ&ブッダブランド)を聴いてました。それだけじゃなくて、一緒に聴いてたのは、HIDEですかね。

─X-JAPANではなくて、HIDEなんですか?

なんでですかね。X-JAPANは嫌いだったんですよ。HIDEって結構メロディアスな感じじゃないですか。メロディアスだったんで、その流れで中学一年の時にパンクを聴いてました。Pennywise、NOFXなんかを聴いてました。

─その頃からバンド活動を始めたんですか?

中学1年生の時に初めてコピーバンドを組みました。7人組のバンドで、キーボードを担当してました。バンドメンバー7人中6人がギター買ったんですよ、で僕はあまり自己主張ができないので、キーボードを買いました。イエモンのコピーバンドだったんですが、僕だけイエモン好きではなかったんですよ。バンド名は「ヴィーナス」とダサいグループでした。

14人ぐらい音楽友達がいて、それぞれにバンドを組んで公園にアンプ持っていって発表会とかやってました。パンクかヒップホップかって感じで、そのたくさんの友達と色々やってました。そのあと高校2年ぐらいから、オバランドというのを組みました。オバラっていう奴がいて、オバラ君バンドと言われてました。その時は本当にパンクバンドでしたね。もうヒップホップは聴いてませんでした。いわゆるメロコアを中心にやってて、パンクを辿っていったらSEXPISTOLSにたどり着いたんですよ。

─結構遅いですね。

そうですね、遅かったですね。曲を聴いた時に、こんなに簡単な曲なのになんでこんなに演奏がヘタなんだろう、でもそこが格好いいなと思いました。当時はシドヴィシャス派だったんですが、今はジョニーロットン派です。

その後UKロックを聴き始めて、その時バンドの担当はベースだったんですけど電子音に憧れを感じて、だんだんメンバー内で音楽性の違いみたいのを感じ始めて。4人バンドなんですけどみんなそれぞれちょっとずつずれていって。。その頃、ブームはあんまりわかんなかったんですけど、ファットボーイ・スリムやケミカル・ブラザーズを好きになりました。

─ブームにそんなに敏感ではなかったのは、あまり雑誌などは買っていなかったからですか?

そうですね、あんまり買っていなかったです。情報に疎かったんです。それからは、ナードコア(日本のネタものを中心とするテクノ)に入りました。

─あまりにも突然な気がするのですが…。

それまで色々聴いてて、何かが足りないなと思ってたんですよ。宇宙人というか、永沢君みたいなてっぺんがとがってる髪型の先輩がいて、その人が教えてくれたんです。
車の中で初めて「去年出たやつ/レオパルドン」を聴いて、「エアースミス」のベースが格好よかったんですよ。ちゃんと借りて聴いたら、一曲目の「大航海ZX」で、ラップが(テクノに)入ってる!という事で驚きました。後は奇抜なサンプリングがあって、自分に足りないのはこれだ!って思いました。

─それでだんだんはまっていったんですね。

あの年頃って他のやつが聴いてる音楽を聴くのが嫌だったんですよ。ナードコアは極限の誰も聴いてない音楽だと思いました。ミューミュー(元鼓膜メンバー)が永沢君先輩の友達で、スマイルハンターズの1st「失脚!小癪な咀嚼公爵」を借りてきて、すごい音楽があるんだと思いました。HMVに行って店員に聴いて、パリッコさんの「東京アーバンミッドナイト」も買いました。

その後、永沢にどこで売ってるんだと問い詰めて、GUHROOVYを知ったんですね。すかさず行って買ったのは、天誅でした。売り切れ寸前だったんで、2枚買いました。「天誅は歌モノだよ、ラップだよ」と聞いてたので買ったら、やはり格好よかったです。色んなCDのスペシャルサンクスを調べて、どういう人達がいるのかわかってきてネットで調べてたら、「毒王(猛毒のリミックスCD)」を知ったんですよ。絶対買ってやるって思って、ユニオンに電話しまくりましたね。それで取り寄せてもらったんですよ。ナードコアは貪りつくように買ってました。タモリ、さんま、ビートたけしの御三家みたいな感じで、レオパルドン、BUBBLE-B、シャープネルかなと思ってました。ホンダレディ、全日も聴いてこの人達は格好いいなと。

そしていつのまにか、聴くというより集める事自体に夢中になってました。イオさんは名前は見るんですけど、曲はなかなか見つかんないんですよね。変な名前だなーと思ってました。

─その頃はどういう活動をしてたんですか?

18歳だったんですけど、2年かかって考えたグループ名があって、ツージー&つかさというバンド名なんですけど(ミューミューという当時のラップ担当の本名がつかさ)をしてました。その時にシンセサイザー、MTR、ドラムマシンを買いました。未だに機材の名前もよくわからないんですが。その頃やっと電気GROOVEを聴きました。

─ナードコアというとサンプリングが中心ですが、サンプラーは買わなかったんですか?

サンプラーは無かったんですよ。楽器として使えるのが欲しいなと思って。やはりシンセサイザーかなと思って。憧れてはいたんですけど、MTRがあればTVから入れてサンプリングもできるのでそれで無理やりやってました。メトロノームに合わせて鍵盤を弾いて、失敗したらまたやり直しで…。なんでみんなこんな正確なリズムで打ち込めるんだろう、って思ってました。
最初のテーマは北朝鮮だったんですよ、何故か。北朝鮮をdisったラップを歌ってました。ジョンイルやピョンヤンをディスったりして。

そのあと知り合いのキックボクサーから入場テーマの依頼がきたんで、「萌えろウル○ラマン」という曲を作って、後楽園ホールでBGMとして流してもらったんですけど、それが最後のアナログデジタルでした。その後はマックを買いました。であまりに音楽の知識がなかったんで、学校に行こうと思いまして、音楽学校のDTM科に行きました。でも、去年まで生徒だった人が講師で、教え方がヘタで…色々あんまり覚えてないんです…。


鼓膜シュレッダー「Good morning or sex」全曲クロスフェード試聴

─今回のアルバムについて解説をお願いします。

1.Wac Rock Disco

─なげやりミュージックという単語がいいですね。鼓膜のテーマにもなっているタイトルの単語ではなくて「ナードコア」と歌っているのは何故なんですか?

本当は、Wac Rock Discoって歌おうとしたんですけど語呂が悪くて、ナードコアという単語がしっくり来たんで入れました。そこら辺の適当な違いも「Wac Rock Disco」ていうテーマにしっくりくるかなと。丁度キャプテンファンクを聴いてたんで、真似してやろうと思いました。ピアノはファットボーイスリムの愉快な感じをイメージしたけど、全然違って、いいかなという感じで適当に作っちゃいました。

2.バカボンBREAKS

これは初期の方に作った曲なんです。トラックは黒人というか、HIPHOPを強く出した曲なんですけど、HIPHOPの人達から色々言われるのが怖いので、全然HIPHOPじゃないという体でお願いします。ファンクっぽい感じも入れました。
サビも韻を踏んでそうだけど踏んでないです。早口っぽい感じで歌いたいなと考えていて、「朝から晩まで彼女の事ばっかり考えてるぜ」というのが一番はまりました。後半の「六条麦茶をがぶ飲みする女をキーポンキーポン」という歌詞は、目の前に六条麦茶があって入れただけなんで意味は無いんです。本当にそう思われてたら困るので…語呂だけで入れた感じです。バカボンとかも意味わかんないですけど。本当に何も関係ないんで、とにかくHIPHOPの人達から怒られるのが怖いです。

3,ヤドカリDriving

これはスパリゾートハワイアンズに行くコンピ(LBTのレコ発コンピ「SUPER HAWAIIAN」)に入れるのに作った曲です。ハワイをイメージして、ウクレレと、後中指に銀の筒を入れて、弦をスライドするような、ジョイーンって音がする楽器が前奏にあるんですけど、それを使いました。後はドラムンベースを作りたかったんです。英語の歌は歌っているゆうこ(元鼓膜シュレッダーメンバー)とAメロBメロって分けて、二人で考えました。。「ワイワイワイハワイ」「ハロハロハロアロハ」ってサビは僕が考えました。ハワイに関する言葉を入れたくて、ヴァケーション、トロピカルジュース、とか。

4.ALCOHOLIST ISM

これはファンキー落ち葉(LBT主催の野外飲み会、2007年秋口に井の頭公園で開催)のコンピに入れるのに作った曲です。飲み会で、イオさんとパリッコさんはアルコール中毒者のイメージがあったんで、酔っぱらいの気持ちというか、「ISM」って主張っていう意味なんですけど。そういう曲にしました。本当はもっと違った歌詞があって、「この震えをとめるために飲むのさ 明日も会社を休もう 暴れてセックスして捕まって」ていうのがあったんですがそれは入れなかったです。トラックは元々ギターのメロディが先にあって、それに合わせました。

5.おしりぷりぷりプリンセス

中学生日記にはまってて、NHK教育、3チャンネルの番組のテーマソングになるようなイメージにしたかったんです。ナードコアと3チャンネルも相性がいい気がして。
おしりぷりぷりは、掛け声が先だったんですね。一回作った時に「ぷりぷり」しか出てこなくなっちゃって、結構最後まで歌詞を考えてたんですけど、眠くなってきてあきらめました。シンセソロは絶対入れたくて、手拍子の「チャチャ」もライブで盛り上がる感じがしたので入れました。途中で音程を間違えて止まるところも、HIPHOPで咳き込んで止まる所のようにしたくていつか使おうと思ってました。

6,Good morning or sex


これは何バージョンかあって、最初は男性ボーカルだったんですが、女性ボーカルになって、ラップを入れました。えいちゃん(鼓膜シュレッダーの元メンバー)が強く作ったんですよ。えいちゃんもバンド組んでて、俺も打ち込みで、フィーチャリングして作ったらいいんじゃないかと思って作りました。

─例えばケツメイシやRIPSLYMEにも近い感じがしたんですが。

いえ、むしろjazztronikをイメージしました。

サビが英語なのは、日本語だとどうしても聞かれるじゃないですか。だから聞かれたくないなと思って英語にしました。でもなんでもよかったんですよね。一応、おはようという事は言ってます。おはようは朝で、sexは夜じゃないですか。でもそれを組み合わせたいというわけでもなかったです…。
えいちゃんはギターソロが凄くうまいので、それを入れたかったんです。

鼓膜シュレッダー

左:ミュウミュウ(元メンバー) 中央:菅野君(無関係) 右:ツージー


─ありがとうございます。ではここから違う質問に行きたいのですが、音楽の未来についてどう思いますか?

世界の音楽はナードコアに染まると思います。いや、ちょっとだけ言い過ぎました。世の中の音楽は、やっぱあれですよ。無くなっちゃうんじゃないかと。

今既にリメイクが多くて、コード進行が似てる曲が増えてきたように思うんですよ。そこでどうしても、無いようなジャンルはナードコアじゃないかと。、

─理想のライブはどんな形ですか?

最低でも2、3人はメンバーが欲しいんですよね。んで、歌って、踊って、飲んで、…うん…まぁ、そんな感じですかね。格好つけてるけど本気で格好つけてると思われたくないけど、そこが格好良いと思うんです。ダサ格好いいというか、ダサいと格好いいは紙一重だと思います。

─好きな食べ物はなんでしょう?

たこ焼きとパイナップルです。

─鼓膜シュレッダーには比較的エロい歌詞が多いんですが、好きな女のタイプなどはありますか?

デート前に色んな服をベッドの上に何着も出して、これがいいかな?これがいいかな?と試着して結局ワンピースにたどり着いちゃうような女の人が好きです。まぁ俺はそれは会った時にはわからないんですけど…。ワンピースが好きなわけでもないんですけど…。他には…お金じゃなくて、宿題とか写させてもらえる人がいいです。もう宿題も無いんですけど…絵に描いたような、絶対に信用できる人がいいです。

─好きなお酒はありますか?

お酒、好きになりたいですね。でもジュースの方が多いんです。ジュースだとアンバサ、力水が好きです。でもLBTに入ったんで、ビールを好きになりたいですね。

─先日blogにヨシツネ君(水に入れると大きくなる恐竜のおもちゃ)の事を書いていましたが、ヨシツネ君はどうなりましたか?

ヨシツネ君はゴミ箱にいます。

─将来の夢などはありますか?

それは音楽でミュージシャンですが、現実だと、パリッコさんが夢です。パリッコさんのような、本業をしながら音楽やって、漫画を描いて…。
俺の夢はLBTなんですよ。今25歳なんですけど、周りは昔と変わって、落ち着いて、大人になったんですよ。昔はお茶目もバカな事もしてるのにそうじゃなくなって。イオさんパリッコさん、ナードコア付近の人は30前後じゃないですか。なのに本気でまだ大人なバカをしているというか。バカな事をしているのが楽しそうで。…質問はなんでしたっけ?

─アルバム全体に対しての感想をお願いします。

ラップが多いじゃないですか、でも真剣に聴かれると困ります。怒らないで下さい。調子に乗ってるって思われると困るんで…。元鼓膜のメンバー全員が入ってるアルバムなんで、今までの集大成という感じです。ライブの時に歌ってくれるボーカルの女性がいないので、現在募集中です。美人でおっぱいが大きい人がいいです。

─最後に、リスナーの皆さんにメッセージをお願いします。

なげやりミュージックですけど、真剣にやってます。

鼓膜シュレッダー

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ツージ?の口からは頻繁に「ナードコア」というキーワードが出てくる。事実「ルーツはナードコア」という歌詞も曲の中に入っている。ナードコアは日本のインディーダンスミュージックの中でも一時期集中的に流行っただけのごく狭いジャンルだ。鼓膜のテーマである「Wac Rock Disco」というテーマの「Wac」の意味は「ダサい、偽物」。存在時代が違法で偽物である所のナードコアを通過した鼓膜シュレッダーが生み出すラップと歌はひたすら無意味、のん気で陽気だ。

「僕のおしりもあなたのおしりも プリプリプリプリ」

2 Live Crewのようにセクシーでおもしろいダンスミュージック。今の時代こそこういった音楽が必要とされているのかもしれない。fack!faitht!鼓膜シュレッダー!

鼓膜シュレッダー 1stミニアルバム 「Good morning or sex」特設サイト

2010.04.26.取材・文/DJイオ